コラム

コラムテーマ「ブランディング

はじめてのブランディング 後編(美容室・飲食店版)

2012.06.29

今回は前回の続きということで、「お店の価値を伝達すること」について。

 

「お店の価値を伝達すること」

 

大きくいって価値の伝達には3つの手法があります。

 

1つは広告・宣伝です。

チラシやフライヤー、ポスター、CMなどの広告の出稿や、

お店のスタッフが来店したお客様に対して行う営業トークなど、

お店が自ら価値情報を発信する事で伝達する方法です。

営業トークというと何だか売り込みのように聞こえてしまいますが、

日常的なお客さんとのやり取りの中で、

さりげなくお店の価値についての話を盛り込む事で

最も親密性の高い価値伝達を行う事が出来ます。

 

そして2つ目はPRです。

PRは雑誌やテレビ・ラジオ等の各メディアに自店の価値を発信し、

メディア側から自店の価値を伝達してもらう方法です。

お店のオープンの際や新メニューを開発した際などに、

自店の価値を盛り込んだプレスリリース等を作成し、

メディア関係者に番組や記事のネタとして取り上げてもらいます。

低予算でありながら多くの人に価値を伝達できますが、

お店のキャパシティや既存顧客への配慮等は考えておく必要があります。

 

そして3つ目は口コミです。

実際にお店に来店して価値を体験したお客様やメディアや広告を通して

価値情報を知った消費者による情報提供やブログの記事等の

口コミによりお店の価値を伝達してもらう方法です。

最近では、ツイッターやフェイスブック等の

ソーシャルメディアの発達もあり、

個人の情報発信が消費に大きく影響する時代になりました。

そういった背景からも今後は、

ソーシャルメディアと上手につきあいながら、

お店の価値を高めていく施策というのも

考えていく必要があると思います。

以上の3つは、価値の伝達手段として基本的なものになりますので、

しっかり各々の特性と手法を分析しておきましょう。

 

 

「お店の価値を記憶・想起させること」

 

次に「お店の価値を記憶・想起させること」について。

分かりやすく「記憶・想起」について理解する為に、

有名な企業や商品を例に考えてみましょう。

まず、あなたの好きなブランドについて想像してみて下さい。

企業名や商品名と一緒にロゴのイメージが連想されるのではないでしょうか。

ロゴやネーミングは「価値の受け皿」です。

お店で受けたサービスや商品などの諸々の経験や印象が、

ロゴやネーミングといった「受け皿」に収納し記憶されるのです。

どんなに良い商品やサービスを提供していたとしても、

その商品やサービスを記憶してもらえなければ、

価値の垂れ流しになってしまいます。

また、受け皿自体が複雑で記憶しづらいものであると、

これもまたもったいない事です。

つまり、価値の受け皿となるロゴやネーミングは「記憶し易い、印象に残り易いものがよい」

ということがお分かりいただけるでしょう。

 

そして、ロゴやネーミングにより価値を記憶させた後は

「価値を再度想起させる」です。

価値の想起には、「価値の伝達」の回で登場した3つの手法が効果的です。

広告やPR、口コミなどによりブランドを再度認識させる事で

受け皿に収納されているお店で受けた体験や感動等の価値情報が

思い出されお店の記憶がよみがえってきます。

そして、この循環を繰り返す事で、お客の中でブランドに対するイメージが

徐々に醸成されていき、お店の価値がアイコン化されていくのです。

 

最後になりますが、ブランディングについて少々付け加えさせて頂きます。

ブランドの価値が高まれば、顧客のファン化を促し、

さらにその評判が口コミとなって売上がアップするでしょう。

また、従業員のモチベーションもアップすることで

売上やリクルート活動等にも好影響が出ます。

しかし、一方でブランドの価値が下がった場合には、

お店の売上のみならず信用をも失うという事になります。

一見いいことずくめのようにおもえるブランディングですが、

その効果は諸刃の剣である事を知っておいて下さい。

 

飲食店・美容室のロゴ・チラシ・メニュー・看板等